ポーカーの勝率、どうやって計算する?「アウツ」を数えるだけで良い簡単な計算法!

戦略

前回の記事で、「期待値(EV)」を考える際に「あなたの勝率:40%」という数字が突然出てきましたね。

「そもそも、どうして自分の勝率がわかるんだ?」
「まさか、毎回難しい計算をしなきゃいけないの?」

そう思われた方も多いのではないでしょうか。その疑問、非常によくわかります。そして、それこそがポーカーで一歩先に進むための最も重要な扉なのです。

ご安心ください。ポーカーの勝率計算は、トッププロのような複雑な分析をしなくても、ある簡単な方法を使えば誰でも素早く見積もることができます。

この記事を読めば、以下のことができるようになります。

  • 自分の「勝ち筋」となるカード(アウツ)が何枚あるか分かる
  • 「4と2の法則」という簡単な暗算で、自分の勝率をパーセントで導き出せる
  • ドローハンドでコールすべきかどうかの、より正確な判断材料が手に入る

このスキルを身につければ、あなたのプレイの精度は格段に向上するはずです。

勝率計算の第一歩:「アウツ」を数えよう

まず、勝率を計算するために絶対に欠かせないのが「アウツ(Outs)」という考え方です。

アウツとは、簡単に言うと「デッキ(山札)に残っているカードの中で、引けば自分の役が完成し、相手に勝てるようになるカード」のことです。

具体的な例を2つ見てみましょう。

【フラッシュドローの場合】

  • あなたのハンド:A♥K♥
  • フロップのカード:7♥ 8♥ 2♠

あと1枚ハートが出れば、あなたは最強役の一つであるフラッシュが完成します。この「あと1枚のハート」が、あなたにとってのアウツです。

トランプのハートは全部で13枚。そのうち、あなたの手元に2枚、場に2枚見えています。つまり、まだ見えていないハートは…

13枚 - 4枚 = 9枚

となり、あなたのアウツは「9枚」あることがわかります。

【ストレートドローの場合】

  • あなたのハンド:8♦ 9♦
  • フロップのカード:T♠ J♣ 2♥

この場合、「7」か「Q」が来ればストレートが完成しますね。このような両端で待てる形をオープンエンドストレートドローと言います。

デッキには「7」が4枚、「Q」が4枚残っていますから…

4枚 + 4枚 = 8枚

となり、この場合のアウツは「8枚」です。簡単ですよね?

魔法のショートカット!勝率がすぐわかる「4と2の法則」

アウツの数がわかれば、勝率の計算はもう終わったも同然です。ここで、ポーカープレイヤーが使う非常に便利な暗算法、「4と2の法則」を使いましょう。

【なぜこの計算でOKなの?】

この法則は、厳密な計算を非常にうまく近似しています。理屈はこうです。

ポーカーのデッキは52枚。フロップの時点で自分の手札2枚と場の3枚、合計5枚が見えています。残りのカードは47枚です。

ターンでアウツを1枚引く確率は「アウツの数 ÷ 47枚」で、これは約「アウツの数 × 2%」になります。
つまり、カード1枚あたりの勝率は約2%。だから、あと2枚見れるフロップでは×4 (2%×2枚)あと1枚しか見れないターンでは×2 (2%×1枚)となるわけです。これが「魔法」のタネです!

フロップの時点(あと2枚カードが見れる)

勝率(%) ≅ アウツの数 × 4

フロップの時点では、この後ターンとリバーで2枚のカードが見られます。この場合の勝率は、アウツの数に「4」を掛けるだけで、おおよそ計算できます。

先ほどのストレートドロー(アウツ8枚)の例だと…

8(アウツ) × 4 = 32%

あなたのハンドがリバーまでにストレートになる確率は、約32%だと見積もることができます。

ターンの時点(あと1枚カードが見れる)

勝率(%) ≅ アウツの数 × 2

ターンでドローが完成しなかった場合、見れるカードはリバーの1枚だけです。この場合の勝率は、アウツの数に「2」を掛けます。

同じくストレートドロー(アウツ8枚)の例だと…

8(アウツ) × 2 = 16%

ターンからリバーでストレートを完成させる確率は約16%となります。

これだけは覚えよう!よく出るドローのアウツ早見表

毎回アウツを数えるのが大変な方のために、代表的なドローのアウツを一覧にしました。プレイ中、パッと見て確認できるように、ブックマークしておくのがおすすめです。

【各ドローの簡単な説明】

  • オープンエンドストレートドロー(OESD):あと1枚でストレートが完成する4枚の連番があり、その両端のどちらの数字が出てもストレートになる状態。(例:8,9,10,J と持っていて、7かQ待ち)
  • ガットショットストレートドロー:連番の間の1枚だけが抜けている状態。(例:8,9,J,Q と持っていて、10だけが待ち)
  • ツーオーバーカード:自分の手札2枚が、場のどのカードよりも数字が大きい状態。相手がペアを持っていない場合に、自分のカードがヒットすれば勝てる可能性があります。

ドロー別アウツ早見表

ドローの種類 アウツの数 勝率の目安(フロップ→リバー)
フラッシュドロー 9枚 約36%
オープンエンドストレートドロー(OESD) 8枚 約32%
ツーオーバーカード 6枚 約24%
ガットショットストレートドロー 4枚 約16%
ポケットペアがセットになる確率 2枚 約8%

注意点:そのアウツ、本当に”勝ち”に繋がりますか?

最後に一つだけ注意点があります。それは「デッドアウツ(Dead Outs)」の存在です。

デッドアウツとは、自分の役は強くなるものの、同時に相手の役をさらに強くしてしまい、結果的に勝てないカードのことです。

例えば、あなたがストレートドロー(8♦ 9♦)、ボードがT♠ J♠ 2♥だったとします。あなたのアウツは「7」と「Q」の8枚です。

しかし、もし相手がスペード2枚のフラッシュドローを強く主張するようなプレイをしていたらどうでしょう?

その場合、あなたのアウツであるQ♠や7♠を引いてストレートを完成させても、相手はそれ以上の役であるフラッシュを完成させてしまいます。このQ♠と7♠は、あなたにとってデッドアウツ(勝てないアウツ)である可能性が高いのです。その場合、あなたのアウツは実質6枚に減ってしまいます。

常に相手がどんなハンドを持っている可能性があるかを考え、自分のアウツが本当に勝ちに繋がるクリーンなものかを見極める意識を持ちましょう。

まとめ:勝率計算はポーカーの羅針盤

今回は、ポーカーの勝率を簡単に見積もる方法について解説しました。

  • アウツとは、自分の役を完成させる「勝ち筋」のカードのこと。
  • フロップでは「アウツ × 4」、ターンでは「アウツ × 2」で、おおよその勝率(%)がわかる。
  • 代表的なドローのアウツを覚えておくだけで、判断が素早く正確になる。

自分の勝率がわかるようになれば、前回の記事で学んだ「期待値」の計算が、より現実的なものになります。つまり、「このコールは、何%くらいの確率で成功すれば見合うのか?」という問いに、あなた自身で答えを出せるようになるのです。

次回の記事では、いよいよこの勝率を使って「コールすべきか、フォールドすべきか」を判断するための『ポットオッズ』という考え方について解説します。お楽しみに!

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