相手からの大きなベットに、「このハンドでコールすべきか、それともフォールドすべきか…」と頭を抱えていませんか?
感覚や「読み」だけでプレイして、後から「やっぱりフォールドしておけばよかった…」と後悔するのは、ポーカー初心者が必ず通る道です。しかし、その悩みはこの記事で解決できます。
この記事を読めば、あなたの判断は劇的に変わります。感覚的なプレイから脱却し、「ポットオッズ」という数学的な根拠に基づいた、ブレない判断軸を手に入れることができるからです。
この記事で解説する「ポットオッズ」は、「期待値(EV)」や「勝率(アウツ)の計算方法」の考え方が分かっていると、鬼に金棒です。もし「アウツって何だっけ?」という方がいれば、先にこちらの記事をサッと読んでおくと、今日の話がスッと頭に入ってきますよ。
ポットオッズとは?コールは「見返りに合う投資」か
ポットオッズとは、一言でいえば「リスクとリターンの比率」のことです。
ポーカーにおけるコールは、ポットを獲得するという「リターン」を得るために、コール額という「リスク」を支払う投資行為と考えることができます。「この投資は見合うのか?」を判断するための道具が、ポットオッズなのです。
これから紹介する簡単なステップを踏めば、誰でもポットオッズを計算し、コールの判断に活かすことができます。
ポットオッズを計算する3ステップ
ここでは、フロップでフラッシュドロー(あと1枚でフラッシュが完成する手)を持っている状況を例に、ポットオッズを計算してみましょう。
$100のポットに対して、相手が$50のベットをしてきた場合を想定して説明します。

ステップ1:リターン(勝った時に得られる額)を確認する
まず、この勝負に勝ったらいくら獲得できるのか(リターン)を計算します。これは、「元々ポットにある額」と「相手のベット額」を足すだけです。
$100(元のポット) + $50(相手のベット) = $150
勝てば、リターンとして$150が手に入ります。
ステップ2:リスク(負けた時に失う額)を確認する
次に、この勝負に負けた場合に失う金額(リスク)を確認します。これは単純に、あなたが「コールするために支払う額」です。
リスク = $50
ステップ3:ポットオッズを計算する
リターンとリスクが分かれば、ポットオッズはすぐに計算できます。「リターン:リスク」の比率で表しましょう。
ポットオッズ = リターン:リスク
$150:$50 = 3:1
この状況のポットオッズは「3:1」となります。
「必要な勝率」を計算してコールすべきか判断しよう
「ポットオッズが3:1」と言われても、直感的にどう判断すればいいか分かりにくいですよね。そこで、この比率を「コールするために最低限必要な勝率」というパーセンテージに変換します。数学が苦手な方でも分かるように、2段階に分けて見ていきましょう。
ステップ1:コールした場合の最終的なポット総額を計算する
まず、あなたがコールした後のポットの総額がいくらになるかを計算します。
$150(現在のリターン) + $50(あなたのコール額) = $200
ステップ2:支払うリスクを、最終的なポット総額で割る
次に、あなたが支払うリスクが、最終的なポット総額のうち何割を占めるかを計算します。これが必要な勝率です。
$50(リスク) ÷ $200(最終ポット) = 0.25
つまり、必要な勝率は25%となります。
このコールを正当化するためには、最低でも25%の確率で相手に勝つ必要がある、ということです。では、自分のハンドの勝率は何%でしょうか?
フロップでのフラッシュドロー(アウツ9枚)が、リバーまでに完成する確率は約35%です。
もうお分かりですね。自分の勝率と必要な勝率を比較します。
自分の勝率(35%) > 必要な勝率(25%)
自分の勝率が、コールに必要な勝率を上回っています。したがって、このコールは長期的に見て利益的なプレイ(+EV)であると判断できます。
【応用編】ポットオッズだけでは見えない世界
ポットオッズは非常に強力なツールですが、万能ではありません。特に、フロップやターンでコールを判断する際には、もう2つの重要な概念を頭に入れておく必要があります。
インプライドオッズ:未来の利益を織り込む
インプライドオッズとは、あなたがドローを完成させたときに、後のストリート(ターン、リバー)で相手からさらに引き出せると期待できる金額のことです。
例えば、ポットオッズの計算上はコールに見合わなくても、相手がコーリングステーション(なかなかフォールドせず、多くのベットにコールしてくれるプレイヤー)で、あなたがナッツフラッシュドロー(最強のフラッシュになる可能性)を持っている場合。相手はA(エース)のトップヒットなどでも降りない可能性が高いため、インプライドオッズが高いと言えます。この未来の利益を考慮に入れることで、コールが正当化されることがあるのです。
リバース・インプライドオッズ:未来の損失を警戒する
リバース・インプライドオッズはその逆で、あなたがドローを完成させたにもかかわらず、相手がそれよりも強いハンド(ナッツフラッシュなど)を持っていて、逆に大金を失ってしまうリスクのことです。
- ボード: 9♠ 5♠ 2♦
- あなたのハンド: Q♠ J♦ (あなたはスペードのフラッシュドローです)
この状況でターン、リバーとゲームが進行し、最終的にボードにスペードがもう1枚落ちて、あなたがQハイのフラッシュを完成させたとします。
【危険な可能性】 この時、あなたは強い役を完成させましたが、相手があなたより強い、A♠やK♠を含むハンド(例:A♠T♠ や K♠T♠)を持っている可能性があります。
もし相手がA♠やK♠を持っていた場合、相手はあなたよりも強い「ナッツフラッシュ」または「セカンドナッツフラッシュ」を完成させています。
あなたが自分のフラッシュ完成に喜び、大きなベットをしたり、相手の大きなベットにコールしたりすると、結果的に相手のより強いフラッシュに負けて、甚大な損失を被ってしまうことになります。
このように、自分のハンドが完成したにもかかわらず、相手のさらに強いハンドに負けてしまい、結果的に大きな損失を被ってしまうリスクのことを「リバース・インプライドオッズが高い」と表現します。このような状況では、たとえポットオッズが合っていても、将来の大きな損失を避けるためにフォールドを検討すべきなのです。
まとめ:ポットオッズをあなたの羅針盤に
ポットオッズは、ポーカーという不確実性の海を航海するための、強力な羅針盤です。感覚的な「読み」と、ポットオッズという「論理」を組み合わせることで、あなたのポーカーはもっと面白く、もっと強くなります。
- ポットオッズは「リスクとリターンの比率」
- 「必要な勝率」を計算し、自分の勝率と比較する。
- インプライドオッズ(未来の利益)とリバース・インプライドオッズ(未来の損失)も考慮に入れる。
最初は計算が少し面倒に感じるかもしれませんが、心配はいりません。実際のプレイで毎回意識して計算する癖をつければ、すぐに慣れて、自然と頭の中で判断できるようになります。次のプレイから、ぜひこのポットオッズという武器を手に戦ってみてください!
ポットオッズをマスターしたあなたへ【次のステップ】
知識を深める
ポットオッズと合わせて使いたい「期待値(EV)計算」を、もう一度おさらいしてみませんか?
→ 期待値(EV)で考えれば自然と勝てるようになる思考法
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